なぜか子供の頃、美術や芸術は将来の仕事に結びつかないものだと思っていた。
でも今大人になってわかることは、洋服をつくるにも、何かプロダクトを作るにも、
製品そのもののパッケージと広告を作るにも、
デザインやセンスを問われるクリエイティブな仕事は
世の中にたくさんあることをしってびっくりした。
子供の世界からは、漫画、とかアニメ、とか、映画とか、
一握りの、少数の作家が紡ぎだすクリエイティブな仕事は、
選ばれし少ない人の仕事であって、
一般人はみな会社員という何をしているか子供からはよくわからない、
クリエイティブではない作業や事務ごとをしている仕事しかないように
思えていたのだ。
だけれど、実際には(大人になるとそれが当たり前にわかるのだけれど)、
作家さんの作品が売れるには他の人がクリエイティブな売り方をしてくれるから
それは売れて、
映像作品を作るには美術さんから撮影さんまで、
ものすごいクリエイティブな分業がそこにはなされているのだ。
今私がやっている建築も、
言葉通りに、建物や内装をつくるクリエイティブさもあれば、
会社の従業員を束ねてディレクションするクリエイティブさもあるし、
はたまた作ったものにどうやって集客するのか、
売り方・見せ方をクリエイティブにする方法もある。
実際に、技術として 他社のアイデアで上手にそれを作り上げる人もいれば、
技術よりもアイデアに優れているので、そちらに専念したほうが開花する才能もある。
ものは見方、とも言えるし、
どうして
子供から見たつまらなさそうな大人の世界がワクワクしたものであったのか、
という謎解きはやはり 経験すればわかるということなのかもしれない。