2019年1月、2週間のインド旅から帰ってきました。
旅をする前にみる映画は、現地で映画の舞台になったロケーションやみた風景にで会えると嬉しく、旅から帰った後でみる映画は、旅の余韻を楽しませてくれます。
中学生の頃に洋画にはまって、アメリカの高校生活ってプロムとかでしょ?!と、映画から海外への興味を持ち留学をしました。大人になってからも、私にとって旅と映画は切っても切れない存在です。
インドといえば、ボリウッド。近年では、歌って踊っての昔ながらのボリウッド映画だけでなく、ストーリー性の強いドラマでいい作品が多いように感じます。
滞在中に映画館でみたり、いざ現地の人におすすめ映画を聞いてみると残念ながら日本語訳がまだまだなインド映画なのですが、その中でも実際に見てオススメだった映画を紹介していきます。
ガンジスに還る
バラナシにある「ムクティ・バワン」と呼ばれる死を待つ人の家を舞台にした映画です。ある時、虫の知らせで死期が近いことを悟った父がバラナシに行くと突然言い出し、仕事の忙しい息子がそれにつきそうというインドの死生観が分かる映画です。
ビジネスマンの中年の息子家族が描かれていることで、現代のリアルなインドの中流の暮らしがみれますし、また儀式をみる、火葬場をみる、など表面的なことにクローズアップされがちなバラナシの観光を親子の別れを描くことで、よりヒンドゥー教の死生観を垣間見ることができるので、バラナシに行かれる方はこれは予習としてぜひ事前にみておくことをおすすめします!
※劇場公開中
ピザ!
スラム街に暮らす石炭拾いをして家計を育てる兄弟。ある日、近所にピザ屋さんができ、ピザに憧れを描き、300ルピー(500円程度!超高額!)のピザを食べるために翻弄し、街を巻き込んでいく物語。
兄弟の子役の演技がとっても可愛いらしいです。ピザやの経営者たち、石炭拾いをする駅で働く大人たち、政治家やスラムに暮らす母親や祖母といったインドの女性たち。すべてのキャラクターがインドで本当に出会った人々そのもので、どこにでもある町の一つの出来事をきりとっているお話にほっこりしました。
子供達が愛くるしいので、終始明るい映画なのですが、実は子供の間でも貧富の差が描かれていたり、実際に子供達がお金を稼ぐ仕組みだったり、スラムのこと、メディアのこと、富裕層のこと。インドにある問題も描ききっている映画だと思いました。
ツタヤ先行でレンタルをしていた時から気になっていたのですが、ドラマとしての完成度が高いので、旅行後でも十分に楽しめる作品でした。
PK
日本で公開されているインド映画の中で一番有名な俳優さん、アーミル・カーンの作品です。主人公は宇宙人で、宇宙船のリモコンを盗難にあい、星に還るべくリモコンを取り戻そうと翻弄するお話です。
リモコンを取り戻すために誰に聞けば?というところから、神様探しをはじめて、リモコンを自分のものにしてしまった僧侶との問答を通して、宗教や神様の矛盾に宇宙人の非常識な?観点から切り取っています。
インドを旅して思ったことは、祈りのチャントはとてもリズミカルで、お寺はカラフルで、インドの神様ってとってもポップで、そして日本人にとってのお寺や神社よりもまだ距離が近いと感じました。自分なりの宗教観を持って行きたい人、インドの神様との付き合い方などを知りたい方は事前にみることをおすすめします!
ちなみに、レンタルで見つけられなかったのですが、pkは3時間と長いです。繰り返し見て理解を掘り下げたり、「神様どこですか?」というコメディなので、これは買っても繰り返し楽しめます。
めぐり逢わせのお弁当
インド、ムンバイではお弁当配達サービスが発達しているのは、ご存知でしょうか。インドは未だに町を歩いても30代以上の女性が一人でで歩いている光景をあまり見かけません。仕事はしているのでしょうが、家庭に入って主婦をして、というスタイルが日本よりもまだ強い国です。恋愛結婚が少なく、離婚率も高くないので、家庭に不満があってもそのままでい続ける女性が多いという背景があります。
この作品のヒロインも旦那さんにネグレクトされ、家庭に不満を抱えながら、それでも主婦として毎日手料理をつくり、旦那さんの出勤後にお弁当配達サービスやさんに、お弁当を預けています。そして、それが別の20近く年上の男やもめに間違って、配達されることから二人が文通をして心を通わせていくお話です。
これも、またインドの中の中の家庭の日常のお話です。家庭の中のドラマ、通勤列車の中、会社が舞台なので、旅の中では見られないインド人の日常を見たい人におすすめです!
きっと、うまくいく
きっと、うまくいくはおそらく一番有名なインド映画ではないでしょうか。原題は「3 idiots」 理系の大学で出会う3バカトリオのコメディです。
高学歴な大学が舞台なだけあって、全編英語です。 正式には、ヒングリッシュ「ヒンドゥー+イングリッシュ」と呼ばれるインド式英語ではあるのですが、インドの英語なまりに耳をならしておくのにも、おすすめです。
コメディとしても傑作ですし、あとは、恋愛ドラマあり、歌あり、踊りありなので、インド映画らしいそれがみたいんだ!という方にも楽しい作品です。
終盤のラダックの美しさも印象的な映画でした。
ダンガル きっと、つよくなる
実在するインド人女性プロレスリング選手とその父親の物語です。脚色たっぷりで、それでいてインドの女性の社会的立場が見れる映画でした。
「きっと、うまくいく」「pk」「ダンガル きっと、つよくなる」は、アーミル・カーンの作品なのですが、本数を絞って作品をつくり込むタイプの俳優さん(製作者)さんなので、今まで歴代のインドの映画興行収入を塗り替えてきただけの面白さがあります。
こちらはレンタルも対応しています。
LION ライオン〜25年目のただいま〜
5歳で迷子になった貧しい生まれのインド人の男の子が保護され、オーストラリアで養子になり、25年後にgoogleアースを使って実家を見つけて、家族と再開するという実話に基づくお話です。
これは、インド映画としてというだけでなく、養子という家族のあり方を考えされられるドラマ性だったり、オーストラリアとインドの暮らしが両方一つの映画の中に収まることで世界の中のインドという土地の個性がとても際立った作品でした。
ロケーションも旅人が行きそうなのは、コルカタのハウラー駅。それと、寝台列車がでてくるので、実際にこの町のルートを経由して旅する方もいるかと思います。
あとは、瞑想とかヨガコースを考えたり、旅人視点から見たい人には、
食べて、祈って、恋をして
王道のインド映画を見たい人には、
ムトゥ~踊るマハラジャ
製作はアメリカなのですが、
ライフ・オブ・パイ/トラと漂流した227日
これは物語全体がインド的な世界観からなるお話だと思いました。
「めぐり逢わせのお弁当」のイルファーン・カーンが出演しています。
あと、インド系でいうと個人的にあまり響かなかったのは、(舞台は違うけど)
「マダム・イン・ニューヨーク」と「スラムドッグ$ミリオネア」です。
「インド・オブ・ザ・デッド」は他にこれ以外に日本に配給すべき映画があったろうに・・・。と残念・オブ・ザ・イヤー2019を受賞するレベルの駄作でした。
まだ、私も超大作の「バーフバリ」や、「バルフィ!」「モンスーンウエディング」など見ていない作品も多々あります。あと、話題の「インド ナプキン」という検索ワードを生み出したパッドマンは、インドから帰ってきたら見ようと楽しみにしていたら、札幌で放映が終わってしまいました・・・。単館系映画の放映が、弱いのが地方住みの弱いところです><
旅*本の組み合わせもいいのですが、作者の主観が全体の印象になってしまうので、新書ではなく、紀行での予習はあまりしないようにしています。復習にはいいのですが、なにぶん読書って時間がかかりますよね。
ので、もっぱら映画ばかりになってしまいますが、旅と一緒で映画は第三者目線で登場人物を楽しめるので、先に見ても後に見ても、旅に先入観の邪魔をせず、純粋に楽しめますよね!
ちなみに、滞在中のインドでは「SIMMBAシンバ」という腐れ警察が正義に目覚めるアクションエンターテイメントがどの映画館でも上映されていて、ヒンドゥー語でしたが、スクリーンで見てきました。
シネコンで300円くらいでしたので、ぜひインドに旅行される方は現地のスクリーンでも映画を楽しんできてください!!
今日紹介した映画は、Amazon Primeで無料で見れる作品もたくさんあります。